一般社団法人港北区薬剤師会

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ずっと飲み続けないといけない薬と、減らせる薬の見分け方

ずっと飲み続けないといけない薬と、減らせる薬の見分け方

「この薬、ずっと飲まないとダメですか?」 この疑問は、誰でも一度は思ったことがあるでしょう。薬を飲み続けることへの不安や抵抗感は、当然のことですね。

飲み続ける必要がある薬と、生活習慣の改善などで減らしたりやめたりできる可能性がある薬を見分けるためのポイントを、わかりやすく説明します。

1. 「飲み続ける」薬が必要な病気とは?

1. 「飲み続ける」薬が必要な病気とは?|港北区薬剤師会

薬を飲み続けるかどうかは、治療している「病気の種類」「今の体の状態」で決まります。

特に一生の服用が必要になるのは、「慢性疾患」の治療薬です。これらは、見た目には元気でも、体の中でじわじわと進んでいく病気です。薬でしっかり管理を継続しないと、将来的に脳卒中や心筋梗塞といった怖い病気を引き起こすリスクがあるため、薬によるコントロールが欠かせません。

疾患名 治療の目的(なんのために飲むの?) 服用中止の原則
高血圧症 血管の負担を軽くし、脳や心臓の病気を防ぐ 原則やめられません。
検査の数値が安定すれば減量を検討します。
脂質異常症 コレステロールなどを減らし、脳や心臓の病気を防ぐ 原則やめられません。
検査の数値が安定すれば減量を検討します。
糖尿病 血糖値を下げ、目や腎臓などの合併症を防ぐ 原則やめられません。
検査の数値が安定すれば減量を検討します。
慢性腎臓病 腎臓の働きが落ちるスピードを緩やかにし透析にならないようにする。 原則やめられません。
慢性的な精神疾患 気分の波を安定させ、病気のぶり返し(再発)を防ぐ 原則やめられません。
急にやめると再発リスクが高まります。

これらの薬は、風邪薬のように症状を「治す」のではなく、病気を「管理する」ために飲みます。血圧や血糖値が安定しても、薬をやめるとすぐに数値が悪化し、怖い合併症のリスクが上がってしまうため、自分の判断で中断するのは絶対にやめましょう。

2. 「薬を減らせる・やめられる」可能性があるケース

2. 「薬を減らせる・やめられる」可能性があるケース|港北区薬剤師会

一方で、医師や薬剤師と相談しながら、薬の量を減らしたり、最終的に服用を終わらせたりできる可能性がある薬もあります。

2-1. 原因が解決した「一時しのぎ」の薬

一時的なつらい症状を抑えるための薬は、その原因がなくなれば中止できることがあります。

  • 抗生物質(菌を退治する薬):細菌による感染症を治すためのもので、医師に言われた期間を飲み切れば終了です。
  • 胃薬(胃酸を抑える薬):ストレスや食生活の乱れで起こった一時的な胃の炎症などが治れば、薬を減らしたりやめたりすることが検討できます。
  • アレルギー薬(花粉症など):花粉の時期が終わるなど、原因となるものがなくなれば服用を終了できます。

2-2. 生活改善で結果が出た場合

高血圧や糖尿病などの慢性疾患の薬でも、生活習慣を大きく改善し、その効果がしっかり出た場合は、薬を減らせる可能性があります。

  • 高血圧薬:食事での減塩、適度な運動、体重を減らすなどにより、血圧が安定した状態が続いた場合。
  • 糖尿病薬:食事の管理や運動を徹底し、検査値が目標の範囲内で安定して保てるようになった場合。

ただし、薬を減らすかどうかは、医師が定期的な血液検査などの結果を見て厳しく判断します。自己判断で勝手にやめると、病状が急に悪くなる危険性があります。

3. 勝手に薬をやめてはいけない3つの理由

勝手に薬をやめてはいけない3つの理由|港北区薬剤師会

薬が本当に不要なのかは、検査数値や病気の状態を見て医師が判断します。自己判断で中止するのはとても危険です。

3-1. リバウンド(病状の急激な悪化)

高血圧や脂質異常症の薬を急にやめると、血圧やコレステロール値が急に跳ね上がり、「リバウンド」のような状態になることがあります。これにより、かえって脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めてしまいます。

3-2. 離脱症状(体調不良)

精神科の薬や、一部の睡眠薬、強い痛み止めなどを急にやめると、めまい、吐き気、不安感が強くなるなどの「離脱症状」が出ることがあります。薬を減らすときは、医師の指示のもと、少しずつ段階的に行う必要があります。

3-3. 症状のないまま病気が進行

自覚症状がほとんどない病気(例:緑内障、慢性肝炎)の薬を勝手に中断すると、気づかないうちに病気が悪化し、元に戻らないダメージ(例:失明、肝硬変)につながる可能性があります。

4. かかりつけ薬剤師への相談:賢く薬と付き合うための3ステップ

薬の服用期間について少しでも不安があれば、遠慮なく医師やかかりつけ薬剤師に相談しましょう。

4-1. 薬の役割を確かめる

まず、「この薬は何のために飲む薬で、いつまで飲む予定ですか?」と確認しましょう。

4-2. 薬を減らせるか相談する

生活習慣病の薬なら、「食事や運動を頑張れば、薬を減らせる可能性はありますか?」と聞いてみましょう。

4-3. 薬が合っているか定期的にチェックする

4-3. 薬が合っているか定期的にチェックする|港北区薬剤師会

長期で飲む薬でも、体質に合わない、副作用がつらいと感じる場合は、薬を変えられる可能性があります。体調変化があればその都度伝えましょう。特に強い症状や気になることがあれば次回の診察日を待たずに、医師やかかりつけ薬剤師に連絡しましょう。

薬の長期服用は、今の症状を良くするだけでなく、将来の健康を守るための大切な「お守り」です。服用期間の判断は、必ず医師やかかりつけ薬剤師といった専門家の指示に従ってください。不安や疑問をそのままにせず、しっかり相談することが、健康に賢く付き合っていくための鍵となります。